葬儀におけるパールと赤ちゃん連れの参列とは
世界的に見ても格式の高いジュエリーであるパールはフォーマルシーンで欠かせない存在ですが、偲ぶため華美な服装を控えるという考えがある中でパールが弔事の場においても身につけて良いとされるジュエリーとなった理由はご存知でしょうか。また、親しい方が亡くなった場合にはお葬式に参列したいと考えるでしょう。しかし、小さな赤ちゃんがいる場合には、どのように参列すべきかまた参列自体を悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回の記事では、葬儀におけるパールと赤ちゃん連れの参列について詳しくご紹介致します。
葬儀におけるパールとは
冠婚葬祭において推奨されるパールは、持ち主の美しさを内面から引き出してくれると言われているだけでなく、涙を象徴する宝石という意味を持っています。「月のしずく」「人魚の涙」 とも呼ばれていることをご存じの方もいらっしゃるのではないでしょうか。その由来には「人魚が叶わぬ恋に涙した際にその涙が海にこぼれおち宝石となった」という言わずと知れた伝説が背景にあります。また、船乗りや漁師の方などが海難事故にあわないようにお守りとしてパールが贈られたというエピソードもあるそうです。パールは母体である貝の内側に入った異物を核にして生成される宝石で、強い守護の力が働く宝石と言われ持ち主を守ってくれる効果があるとされています。伝統的なマナーでパールを身につけているという心持ちよりも、持ち主である貴方を不幸にならないようにパールが守ってくれるという心持ちでいると安心感も持てるのではないでしょうか。
パールの種類とは
パールといえば、ホワイトパールを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。実際に最も幅広く使用されているパールはホワイトパールといえるでしょう。しかし、パールには様々な種類があり、色味においても多くの種類があります。ホワイトパール以外には、ピンク系・ブルー系・グリーン系・ゴールド系・ブラック系と言った様々な色味のものがあります。葬儀の際にパールのアクセサリーを身に付ける場合、パールの色味はホワイトパールかブラックパール・ブラックに近いグレーパール・ジェットパールと言った色味のものを選ぶようにします。葬儀では派手な色の服やバッグ・装飾品などはマナー違反となりますから、パールのアクセサリーであっても明るい色味のものは避けるのがマナーです。ホワイト・ブラック・ブラックに近いグレー・ジェットなどの色味のパールを使用したアクセサリーであれば格の違いも特になく葬儀の席で身に付けることが可能です。ただし、ここで注意が必要なのが人によってはブラック系の色味のパールを贅沢品として捉えられる場合もある為、気になる方はホワイトパールのアクセサリーを身に付けて参列されると安心でしょう。一般的に葬儀の席で用いられるパールのアクセサリーはホワイトパールの場合が多い傾向にありますが、近年ではブラック系のパールアクセサリーを身に付けて参列される方も増えてきており、特にマナー違反とはなりません。
続いてパールのサイズについてですが、サイズについても様々なものがあり珠の大きさによって印象が変わります。葬儀の際に身に付けるアクセサリーを選ぶのであれば、中粒と言われる珠のサイズが直径7mm~8mmのものを選ぶと良いでしょう。あまり大きなサイズであると派手な印象を与えてしまいますし、直径7mm~8mmサイズであれば葬儀だけではなく様々なシーンで使用することができる為、重宝するでしょう。葬儀の席でイヤリングやピアスなどを身に付けることはマナー違反ではありませんが、その際には真珠が一粒のみ施されているシンプルなデザインのものを選びます。真珠と一緒に他の装飾が施されているタイプ・垂れ下がるタイプ・金具がゴールドのタイプなどは避けなければなりません。この際のパールのサイズについても、定番の中粒である直径7mm~8mmのものを選ぶようにしましょう。続いてネックレスについてですが、葬儀で身に付けるネックレスは必ず「一連のもの」を選びます。二連のネックレスは不幸が重なるとされていますのでマナー違反となります。また、真珠が一粒のみ施されているデザインのネックレスもマナー違反となりますので注意が必要です。ネックレスの長さについては、鎖骨のラインにかかる程度の長さである40cm前後のものが最も格式が高いとされていますので、葬儀の席だけに限らず様々なシーンでも身に付けることが可能です。
パールが推奨されるようになった背景とは
故人を偲ぶため華美な服装を控えるという考えから、本来弔事の場において結婚指輪以外のジュエリーを身につけない方が良いとされていました。また、長く和装文化であった日本において喪服の際の装飾品は結婚指輪以外のジュエリーを身に着けることはマナー違反とされていました。これは現代でも言えることで、和装においては結婚指輪以外を身に着けることは華美すぎる為、マナーに反するとされています。
そんな中で弔事の場においてパールが推奨されるようになった背景は実に1965年にまで遡ります。それ以前はイギリスのヴィクトリア女王がジェット(海の底に沈んだ木の幹が長い時間を掛けて化石化した宝石)をモーニングジュエリーとして愛用したことから世界的に主流となり、日本の皇室においても女性皇族方にジェットのモーニングジュエリーが取り入れられている程に伝統的なマナーとされていました。1965年、イギリスの女王であるエリザベス2世はウィンストン・チャーチル元英首相の国葬にジェットではなく、パールのジュエリーを身にまとい参列しました。その装いを周りの貴婦人たちも倣い、それ以降パールがモーニングジュエリーとして広く国際的に認知されるようになっていったのです。
また、パールは涙を象徴する宝石という意味を持っていますので、パールを身に着けることは故人や遺族に哀しみの気持ちを表すとして定着していきました。さらにダイヤモンドの様に光を放つような輝きではなく、光を受け優しく輝くパールは華美になりすぎないという印象がある事からも、冠婚葬祭のすべてに推奨されるようになったのです。
赤ちゃん連れでの葬儀参列とは
葬儀は静かな空間で故人とのお別れをする場面です。そのような場面で赤ちゃんを連れて行っても良いのでしょうか。一般的な意見からすると赤ちゃん連れでの参列は控えたほうが無難と言えます。ただし、故人が親族にあたる場合は参列してもかまいません。参列する場合には会場に着いたら先に遺族への挨拶を済ませ、その上で出口付近の席に座るなどして遺族の方や他の参列者の方に迷惑がかからないように配慮しましょう。夫(妻)に代表して参列してもらい母子(父子)は参列を控えるという選択を検討してみるのもひとつの手段ですね。どちらにしても、親族の場合であってもなくても事前に遺族の方へ相談してみるのが賢明です。故人が赤ちゃんをかわいがっていた場合などは「ぜひ参列してほしい」と言われるかもしれません。親族の場合でも当日いきなり赤ちゃん連れで参列するのは非常識だと思われる可能性がありますので、事前に相談しておけば安心です。
また、赤ちゃんと一緒に参列した場合は火葬場まで連れていくべきなのかという問題ですが、故人と赤ちゃんがかなり近しい関係である場合には同行する場合も考えられますが、火葬が始まってから骨上げまでは約二時間程度かかりますので赤ちゃんへの負担を考えても火葬場までは行かないほうが無難と言えるでしょう。お葬式会場で待機していても失礼にはあたりません。また、故人と赤ちゃんが近しい間柄の場合には火葬場まで自家用車で行くなどの対策を講じておきましょう。いずれにしても、遺族の方に一度相談することをおすすめします。
参列マナーとは
赤ちゃん連れで葬儀に参列することになった場合には遺族の方へ迷惑がかからないように出来る限りの配慮をしましょう。赤ちゃんは泣くのが仕事と言われるくらいの時期ですから、お葬式の最中にも泣いてしまう可能性もあるでしょう。周りに頼れるところは頼りながら慌てずに落ち着いて行動する事が大切です。赤ちゃんが泣くのは仕方がないことですし、普段と違う環境下で泣いてしまう赤ちゃんも多いはずです。周りの方は寛容に受け止めてくれるかもしれませんが、お葬式の雰囲気を壊してしまったり進行の妨げになってしまったりする可能性もあります。ですから、赤ちゃんが泣き出した場合には途中退席自体は失礼にはあたりませんから一旦会場の外に出て赤ちゃんを落ち着かせましょう。泣き出した際にすぐに外に出られるように出口付近の席を選んでおくのが大切です。また、会場にベビーカーを乗り入れても問題はありませんが公共の場と同じように周りへの配慮を忘れないことが大切です。通行の邪魔にならないようにする事や人にぶつからないようにする事などに特に気をつけましょう。式の最中は、ベビーカーを折りたたみ端のほうへ寄せておくと良いでしょう。置き場についてはスタッフに相談してみるとより良いですね。
赤ちゃん連れで少々問題となるのが焼香のタイミングです。赤ちゃんを抱っこした状態では、焼香がしづらいだけでなく煙が赤ちゃんにかかってしまう恐れもあります。できれば焼香の間だけでも赤ちゃんを誰かに預かってもらえると一番良いのですが、預けることが難しい場合は抱っこしたまま焼香しても問題はありません。その場合は、煙が赤ちゃんの顔にかからないように配慮し焼香台に近づきすぎないようにしましょう。合掌は片手で行ってもかまいませんが、片手でも心を込めて行うことが大切です。
参列する際の持ち物とは
赤ちゃん連れで葬儀に参列する場合にはいろいろと準備が必要です。荷物が多くなると少し大変ですが万が一のことも考えて用意しておくに越したことはありません。ここからは0歳から一歳前後くらいの赤ちゃんを連れて葬儀に参列する場合の持ち物についてお伝えします。
まず第一に紙おむつやおしり拭きなどは余裕を持って用意しましょう。またそれ以外にもおむつ用のゴミ袋も持って行きます。普段は布おむつを使用している場合であっても葬儀に参列する際は紙おむつを使用したほうが無難でしょう。おむつ替え台がない施設の場合には控室などでおむつ替えをすることになるかもしれませんので、おむつ替え用の防水シートなども用意していると良いでしょう。また赤ちゃんはお腹がすくと泣いたり機嫌が悪くなったりしてしまいますので完全母乳でない場合は粉ミルクも持参しておきましょう。お湯に関しては会場で準備できない可能性もあるため、ポットなどに入れて持参していくとより安心です。離乳食が始まっている場合にはベビーフードも忘れず持って行きましょう。パウチの場合は食器も必要になってきますからそのまま食べられる瓶タイプなどが便利です。またベビー用のおやつなどもあると安心でしょう。多くの方が集まる葬儀会場は冷房が強めに効いている場合もありますから、赤ちゃんにとっては寒すぎる可能性もあるのでタオルやおくるみが一枚あると便利です。ほかにも控室で待機するときにマット代わりにしたり、お昼寝した際にはブランケット代わりにしたりもできますので普段使っているタオルやおくるみを持って行きましょう。葬儀は長時間に渡りますので授乳中やおむつ替えの際に服が汚れてしまう可能性もあります。また暖房の効きによっては汗をかいてしまう事もあるでしょう。着替えは2着・3着程度持って行くと安心です。洋服だけでなく、肌着の着替えも忘れずに持って行きましょう。スタイを使っている赤ちゃんの場合はスタイの替えも必要です。長時間は飽きずにじっとしていられる赤ちゃんはなかなかいませんから、おもちゃなど気分を紛らわせるものを持っていくと安心です。ただこの場合には大きな音が出るものは周囲の迷惑となるため避け、布絵本やぬいぐるみ歯固めなどの音が出ないようなおもちゃがおすすめです。