命日と六曜とは
カレンダーや手帳に記載されている大安や仏滅などこれらはいずれも六曜を示しています。六曜は普段の生活では気にすることは少ないですが、葬儀や法事などのを執り行う際には意識することがあります。また、命日とは故人が亡くなった日のことで、毎月の同日を月命日・一周忌を過ぎた後の年に一度の同月同日を祥月命日といいます。月命日・祥月命日ともに地域によって過ごし方に違いはありますが一般的には命日にお参りする際にはお供え物を持参するのがマナーとされています。
今回の記事では、命日と六曜について詳しくご紹介致します。
六曜とは
六曜とは「先勝・友引・先負・仏滅・大安・赤口」のことです。この六つの曜はもともと中国で生まれた思想でその日の吉凶を占うために定められています。六曜には法則性があり旧暦の元旦が起点でその後に先勝→友引→先負→仏滅→大安→赤口の順に進みます。
六曜と冠婚葬祭は大いに関係しているもので、どの六曜の日に何を行うのか、またどの六曜の日は避ければ良いのかということは共通の認識として浸透しています。ただし、六曜はもともと仏教とは関係のないところで生まれた概念ですから、本来であれば日本の葬式のほとんどを占める仏式はもちろん、キリスト教式などでもそれほど気にする必要はないのです。ここでは冠婚葬祭の中でも葬儀・法事の場合の六曜との関係性についてご紹介致しますが、実際に葬儀を執り行うにあたっては過度に六曜を気にする必要はないでしょう。葬儀の場合には、友引の日が避けられる事が多いです。そうした背景もあり、火葬場が友引に休む場合がある事や友引の翌日は友引明けと言い火葬場が混み合う事も多いです。また仏滅の日には「何事も遠慮する日、病めば長引く、仏事はよろしい」という言葉があり、葬儀や法事は仏滅に行うのが良いとも言われています。法事の場合では、葬儀の場合と同じく仏滅に行うのが良いという意見があります。また、赤口の日は「万事に用いない悪日、ただし法事、正午だけは良い」ということも言われているため、法事に限っては赤口に行うのも良いとされています。ここまでお伝えした内容についてはあくまでも迷信であるため、遺族の方の事情や迷信や風習を気にされる方との兼ね合いに合わせて日程について決める事をお勧め致します。
意味や読み方とは
それでは六曜それぞれの意味や読み方についてお伝えしていきます。
- 六曜それぞれの意味や読み方
- 先勝(せんしょう・さきがち):文字通り「先まわりして行動すると良い日」とされる日です。この日は何事においても迅速に行動することが吉とされており、具体的な時間で言えば、午前中が吉・午後は凶の時間帯とされています。葬式の日取りにおいては、吉凶の対象が勝ち負けである為あまり関係ないとされています。
- 友引(ともびき・ゆういん):元来は「共引」と言い勝負が引き分けに終わるという意味でしたが、後世になり陰陽道での「友引日」と混同され現在に至ります。友引日には災いが友人に向かうという意味がある為、この日に葬儀をすると、故人が友人を引き込むと忌み嫌われる様になったのです。近年では減少傾向に向かっていますが、迷信や風習を気にされる方もいらっしゃいますし、友引の日に休業する火葬場もあります。
- 先負(せんぷ・せんふ・さきまけ):先勝の日とは反対に午前中が凶とされる日です。先勝は午前中が吉と言われているので、先負は午後が吉だと思われがちですが先負の午後は小吉程度で特に良い時間という訳ではなく「平常を装って吉」とされており、何事も起こらないよう無難に過ごすことがおすすめの日です。先負も先勝の日と同じく、葬式にはあまり関係ないとされています。
- 仏滅(ぶつめつ):仏滅とは「物が滅する日」とされています。仏が滅すると書くように六曜の中ではもっとも悪い日だとされていますし、実際にお祝い事は避けた方が良いとされる日ですが、仏事や別れたい人との別れには良い日と言われていますから、葬儀を執り行う分には問題ない日と言えます。
- 大安(たいあん・だいあん):大安は大いに安しと書くように「やってはいけないことが何もない日」のことを言います。この日は大吉でおめでたい日だと思われがちですが、特に害のない日ですから実は小吉のような日です。しかし、やってはいけないことや凶の時間帯がない分、結婚式などの長い時間帯で執り行われるお祝いの行事はこの日にすると良いと考えられています。
- 赤口(しゃっこう・せきぐち):赤口は古来より魔物がいると考えられてきた丑寅の刻の時間帯の六曜です。近年でも赤という文字が入っていることから、赤から連想される血や火・刃物や火事などに気を付けるべき不吉な日とされています。仏滅が物が滅する日であるのに対して、赤口は「全てが消滅する日」とも言われており大凶とも言える日ですが、正午を中心に前後の1時間程度は吉とされます。法事に限っては赤口に行うのも良いとされています。
六曜と宗教の関係や注意点とは
六曜は本来、仏教とは関係のないところで生まれた概念ですから本来であれば日本の葬式のほとんどを占める仏式はもちろん、キリスト教などでもそれほど気にする必要はないのです。しかし、昔からの風習という意味では六曜と各宗教にはそれぞれ考え方が変わってきますのでそちらをご紹介していきます。
まずは、仏教と六曜についてですが、仏教は六曜を重視するという意識があるかもしれませんが、先にもお伝えした通り仏教と六曜には基本的に関係性はありません。しかし、葬儀を執り行う日を決める際は風習として友引の日を避ける傾向があります。友引をどのように見るかは宗派によっても異なり、浄土真宗は友引を避けるという見方そのものを否定しているのが特徴です。仏教の教理によって友引を避けるのではなく、昔からの風習として友引を避けているということを覚えておくと良いでしょう。続いて、神式と六曜についてですが、仏教と同様に神道においても六曜との間に関係性はありません。神式の葬儀を執り行う場合にも友引を避ける傾向はありますがこちらに関しても昔からの風習によるものです。神道には様々な行事がありますが仏滅の日には参拝を避ける方もいらっしゃるように、祭りを始めとした祭礼を執り行う日程は基本的に大安に行われることが多いように六曜を意識するのも特徴です。こちらも神道の教理によって大安が選ばれているという訳ではなく、昔からの風習として残っているものです。最後に、キリスト教と六曜についてですが、キリスト教でも六曜との間に関係性はありません。仏教や神道とは異なり、風習として六曜を意識することもない様です。ただし、カトリック教会を始めとした一部の教派では聖土曜日に葬儀を行えないなど、教理面で特定の日に葬儀を行わない場合もあります。こちらも併せて覚えておくと良いでしょう。
また、葬儀の日程を決める際には六曜以外にも様々な点に注意する必要があります。葬儀の日程を決める際には、まず第一に葬儀に参列する遺族や親族などの参列者の都合を考えることが大切です。遠方から参列する方が多い場合には移動にかかる時間を考慮する必要がありますし、急すぎる日程で葬儀を執り行うとなると参列できない方が出てしまう可能性も否めません。親族がきちんと揃った状態で葬儀を執り行いたいと考えているならば余裕をもった日程を設定するのがおすすめです。また、参列者の都合のみならず菩提寺の僧侶の都合がつくかという点にも注意が必要です。仏式の葬儀を行う場合(菩提寺がある場合)には、菩提寺の僧侶のスケジュールを確認し、僧侶のスケジュールが空いている日に葬儀を執り行う必要があります。菩提寺が存在しない場合には読経を依頼する寺院のスケジュールを確認し、キリスト教式の葬儀を執り行う場合は所属教会の教職者のスケジュールが空いているかを確認します。また、葬儀会場や火葬場の空き状況もきちんと確認しなければなりません。葬儀会場や火葬場を予約しなければ葬儀を行えない為、忘れずにチェックしましょう。葬儀の日が友引の翌日になる場合には葬儀が集中して混みやすいので注意が必要です。
命日とは
命日とは一般的に「故人が亡くなった月日」の事であるという認識が強いのではないでしょうか。広義ではこの認識で間違いありませんが、冒頭でもお伝えした通り命日には月命日と祥月命日の二つの種類があります。それぞれ意味合いなどが異なるので二つの違いをご紹介致します。
- 月命日(つきめいにち)
- 命日とは故人が亡くなった月日のことをいいますが、
月命日はこれに対し、故人が亡くなった日と同じ日にちを指します。
つまり、月命日は命日の月を除いた毎月1回
1年の内、11か月やってくるということになります。
- 祥月命日(しょうつきめいにち)
- 祥月命日は一周忌を過ぎた後の年からの
故人が亡くなった「月日」の事を指します。
祥という字には「幸い」の意味もあり、
祥月命日には凶が去って吉になるという願いも込められています。
月命日では親族間でも法要が行われない事が多いことに加え、毎月贈り物をされてもかえって遺族側が負担に感じてしまうという事もある為、親族以外が贈り物をするのは祥月命日の年忌法要の際が一般的です。
のしや渡し方とは
お供え物にのしをつけるのも大切なマナーです。双銀または黒白の水切りで結び方は結びきりにします。ただし、関西地方では黄色の水引を使うことがありますので、事前に確認しましょう。表書きは黒の墨で「御供」もしくは「御仏前」と書きます。そして下段には送り主のフルネームを書きましょう。また、誰からのお供え物かを一目で分かるようにするために、包装紙の上にのしをつける「外のし」が基本です。自宅に伺う場合はまず仏壇にお参りしますが、その際に遺族に断りなくお供え物を置くのはマナー違反です。必ず「仏様にお供えしてください」とひと言伝えましょう。お供え物を郵送する場合には、のしが破れてしまうのを防ぐためにのし紙をつけてから包装紙で包む「内のし」にし、手紙などを添えて送ると良いでしょう。
注意点とは
命日にお供えする物品には特に決まりはありませんが、故人の好きなものを選ぶのが良いとされています。また、お供え物は一般的に家族でお下がりとしていただくのが通例ですから、故人だけでなくお供え物を受け取る遺族の都合や手間を考えた上で用意をすると良いでしょう。
- お菓子
定番のお供え物といえば、お菓子です。故人が好物だったものを選ぶのが好ましいですが、生菓子は賞味期限が短かったり要冷蔵だったりする為、可能であれば控えるようにしましょう。お菓子でおすすめなのは、比較的日持ちし常温での保管が可能な焼き菓子です。和菓子であればまんじゅうや落雁などが良いでしょう。いずれにしても遺族の家族構成などを考慮し、子どもが多い場合には焼き菓子やゼリー、年齢層が高い場合には和菓子にするなどの配慮をすると喜ばれるでしょう。また、地域によってお供え物を親族や身近な人に振る舞う風習があるので、個別包装してあるものを選ぶようにするとなお良いでしょう。 - お線香
上記以外にも、家族が少ない場合などで食べ物ではない方が良い場合などは消耗品のお線香もおすすめです。ただし、香りがあるもの、煙が立たないものなど様々な種類のお線香があるため、贈る際は先方の住宅環境や健康状態・好みなどを考慮して選びましょう。もしそういったことが分からない場合には匂いが控えめで、煙があまり立たないものを選ぶのが無難です。 - 果物
果物もお供え物として一般的ですが、痛みやすい種類は避ける必要があります。選ぶ際は故人が好きだった果物や旬の果物にしましょう。また、傷みにくいものや分けやすいものがおすすめです。丸い果物は縁起がよいとされるので、メロンやリンゴなどが選ばれることが多いです。贈る際には、故人との縁を切るという意味合いを避けるため果物の個数は奇数にしましょう。 - 花
故人が花を好きだったのであれば、花をお供えとするのもおすすめです。白・黄色・青などの落ち着いた色合いで日持ちがする花を選ぶと良いでしょう。故人の好みに合わせて選べば問題はありませんが、バラなどのトゲのある花・香りの強い花・鉢植えは仏花として相応しくないとされているため特別な事情がない限り控えましょう。
続いて、お供え物に相応しくないものをご紹介して致します。
- 大きいものや重いもの
スペースを取ってしまう大きいものやかさばるもの・重いものは物理的にもご遺族の負担になりかねない為にも避けましょう。また、お供え物を遺族で分けることがあるので持って帰りやすいように重いものは避けるようにしましょう。 - 肉や魚
肉や魚などは殺生を連想する品のため、お供え物として相応しくないとされています。 - お酒
お酒はお神酒としてお供えすることもありますが、遺族がお酒を飲めない場合もありますから配慮が必要となります。故人も遺族もお酒が好きというこであれば問題ありませんが、重くてかさばるような瓶などであればやはり避けるのが無難と言えるでしょう。
お供え物の値段の目安については、故人や遺族との付き合いや関係性によっても変わってきますが、お供え物のみであれば三千円から五千円程度が一般的のようです。また、地域によってはお供え物と現金の両方を贈るなどの風習がある為、分からない場合は詳しい親戚の方や地域の知り合いの方に相談するようにしましょう。