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副葬品と手元供養とは

千羽鶴故人を棺に眠らせる際に生前に大切にしていた思い出の品や家族や友人との思い出の品などを一緒に納めることがあり、それらを副葬品と言います。実は副葬品には向き不向きな物があります。また、故人を見送った後に故人の遺骨を複数個所に分けて納骨し手元供養を行いたい場合などに分骨するという選択をされる方もいらっしゃいます。近年ではミニ仏壇やアクセサリー形式などの様々な手元供養の形式があるという背景からも分骨を希望される方が増えてきています。
今回の記事では、副葬品と手元供養について詳しくお伝え致します。


副葬品とは

弔い副葬品についてお伝えするにあたり副葬品とはどういった経緯で出来たものなのかという点からお伝えしていきます。日本では古代から副葬品の風習がありました。古墳から出土された品々がその例で、人や馬の形をした土器は権力者の付き人や乗り物として一緒に埋葬したといった様にそれぞれが意味を持っています。現代では思い出の品を手向けとして副葬品にする事が殆どですが、古代の副葬品は死後の世界で過ごす死者の為に選ばれていました。また、かつて土葬が主流だった時代では副葬品の選定には特に制限が設けられていませんでした。余談ですが、地域によっては友引にお葬式を挙げた場合にこれ以上死者が出ないようにと願いを込めて藁人形を入れたり、未婚で亡くなった方には配偶者の代わりとなる人形を入れたりする習慣もあったようです。
火葬が主流になった近年では燃やせる副葬品を選ぶことが前提となっていますので、故人が死後の世界で過ごすための物という考え方から故人への手向けの物として、故人が生前に好きだった食べ物や愛用品などを入れる事が多くなっています。
昔と今も変わらない点は、副葬品には故人への弔いの気持ちや想いが込められているという点です。また、故人と最後のお別れをする際に茎を切った花を一輪ずつ手向ける事がありますが、これは別れ花と言い副葬品とは別の扱いになります。

副葬品の例

副葬品によく選ばれるものとして以下のものが挙げられます。

  • 別れ花とは別に故人の好きだった花
  • 故人が育てていた花
  • 生前に故人が受け取り大切にしてた手紙
  • 故人へ送る手紙
  • 人数が多い場合には寄せ書きの色紙
  • 故人が大切にしていた衣類
  • 思い入れのある衣類
  • ハンカチや帽子などの服飾小物
  • 故人らしさが表れている写真
  • 千羽鶴や御朱印帳

上記以外にも副葬品として納棺する場合もありますが、注意しなければならないのは副葬品として避けるべきものがあるという点です。次項にて詳しくお伝え致します。

副葬品として避けるべき品

近年では火葬が主流となっておりますので副葬品も燃焼を妨げる物や、溶解や爆発などで遺骨や係員を傷つける危険性があるものは入れてはいけません。副葬品ではないのですが、故人の体にペースメーカーが入っている場合には突然爆発する危険性がありますので必ず係員への申告を事前に忘れずに行いましょう。
それでは具体的に副葬品として避けた方が良いものについてお伝えしていきます。まず現在生きている方が写っている写真は避けましょう。生きている方の写真を棺に入れ火葬すると、その方もあの世へ引き込まれてしまうという迷信がある為です。既に亡くなっている方や生きていてもペットであれば問題はありません。
いつも身につけていた物を一緒に入れたいと思うのは最もな想いですが、眼鏡や時計・指輪などの装飾品については金属やガラスなどで出来ている為に燃え残ってしまいますし遺骨を傷付ける原因になりますので避けましょう。装飾品は大きい物ではありませんので火葬後に骨壷に入れて副葬品としましょう。同様に靴や手袋も注意が必要で、革やビニールなどの素材は燃えにくく燃え残るだけではなく、溶けて遺骨を汚したり傷つけるおそれがあります。また燃やした際に有害なガスが出る事がある為に火葬場のルールで棺に入れられないように決められている事が殆どです。毛皮革製品を一緒に火葬する事は来世で獣に生まれ変わってしまうという迷信がありますので出来るだけ避けましょう。趣味の品としてゴルフクラブや釣竿も金属やカーボンが使われている為に火葬できないアイテムです。中には木製の物もありますがサイズが大きい物のため燃えにくいので不適切です。稀にお金を副葬品にという方もいらっしゃるのですが、紙幣を燃やすことは法律で禁止されています。地域によって六文銭などの硬貨を棺に入れる習慣がありますが、その場合にも骨壷に入れるようにしましょう。
副葬品として入れられないものは上記以外にも、二酸化炭素やダイオキシン・悪臭が発生するなどの公害の原因となるビニール素材・毛皮革素材・発泡スチロール・プラスチック製品・ゴム製品・化学合成繊維製品など、不燃物の金属・陶磁器・ビンなどは基本的に入れてはいけません。燃えたとしても、大きなぬいぐるみ・スイカなど水分の多い果物類・分厚い書籍などの燃えにくく大量の煤や灰が出たり、不完全燃焼を引き起こしたりする可能性がある物も避けた方が良いです。破裂や爆発の危険性がある物として先にペースメーカーを挙げましたが同様にライター・スプレー缶・電池や、炉の故障原因となる物としてカーボン製品は入れられません。
副葬品として棺に入れてはいけない物は、地方の自治体などで決められている場合がありますしご自身で入れても良いかどうかの判断が難しい場合もあると思いますので、その際には葬儀社へ一度相談してみると安心です。


分骨とは

供養手元供養を行うために分骨する事は法律上の問題は何もありません。ただ、注意しなければいけないのは遺骨に対する考え方は宗教だけでなく地域や一人一人の考え方によって違いがありますので中には遺骨を分ける行為は成仏の妨げになると考える方や故人があの世で迷うのでは等と抵抗感を覚える方もいらっしゃるのは事実です。そういった点を踏まえ遺族や親族に充分な説明をして理解を得ることが大事ですし、もし手元供養を行うという選択をした場合には手元供養を行っていた方が亡くなった後に遺骨をどうするのか残された人が困る可能性がありますのでそういった面も含め家族内で理解を深めておく必要があります。
分骨した後の供養方法には、様々な方法があります。故人のお墓までお参りに行くのが難しい場合など、遺族の居住地に近い場所に用意した別のお墓に納めるなどして複数の墓地へ納骨する場合もあります。しかし新たに墓地を作るとなると高額な費用もかかりますので、敢えて墓地を作らない永代供養などをするという選択肢を選ぶ人も増えています。お寺によっては年間管理費などの費用が発生する場合もありますが、お墓を建てるよりも安価で手間もない上に好きなタイミングでお参りに行けます。また、故人の意向で海へ遺骨をまく散骨をする場合や信仰する宗派の本山に遺骨の一部を納骨する場合などもあります。お墓という形式ではなく故人をもっと身近に置く形として手元供養という方法があります。手元供養の場合には一般的に自宅の仏壇や装身具にご遺骨の一部を納めて供養します。故人の生前の希望により散骨や樹木葬などといったお墓が残らない形での埋葬を選択した場合にも手元供養するために分骨する例もあります。

手元供養の形式

手元供養の種類は様々な形式がありますので、ご自身の希望に近いものを探すことが可能です。まず初めに一般的な手元供養の方法としては、自宅の仏壇に骨壺を安置し供養するという方法があります。仏壇には従来のような伝統的な手法で作られたものだけでなく、シンプルなデザインの物からモダンなデザインの物まで様々な仏壇があり、手元供養用に作られたミニサイズの仏壇も近年では増えてきましたのでご自身の家庭の仏壇を置く場所などを考慮し希望に沿うものを選ぶと良いでしょう。仏壇の代わりに小ぶりのテーブルや台などを用意し骨壺を安置するのも一つの選択肢です。漆器や七宝、高級感あふれる上絵付けの施された磁器製といった工芸品に近いデザイン性の物は勿論、近年ではミニ骨壺という小ぶりなサイズのものなど部屋に馴染むよう考えられた手元供養用の骨壺も販売されています。故人を常に身近に感じていたいと願う人向けに、粉砕した遺骨を入れて身につけるアクセサリー形式の収納容器もあります。また、遺骨を樹脂で固める手法や合成ダイヤモンドに加工する手法もあります。

分骨の方法

分骨は納骨前と納骨後のどちらでもすることが可能です。納骨前であれば葬儀社へ分骨をしたい旨を伝えておけば骨上げの際に分骨用の骨壺を用意してくれるので比較的容易に分骨することが可能ですが、既に納骨済みの遺骨を分骨する場合にはまずはお墓の管理者である寺院や霊園に連絡を取り日程調整を行い遺骨をお墓から取り出す段取りをつけるうなどだけでなく、分骨先の墓地管理者へ提出しなければならない場合には分骨する旨を伝え「分骨証明書」の発行を依頼する必要があります。この手続きは墓地によっても異なり、場合におっては遺骨の移し替え先の受入証明書などが必要となることもあります。遺骨を取り出す際には、宿っているとされる故人の魂を一旦抜く儀式(閉眼供養・魂抜き)を行い、骨壺から必要な分の遺骨を取り分けた後で元の場所に遺骨を納める際には、一度抜いた故人の魂を再びお墓に戻すための儀式(開眼供養・魂入れ)が必要になります。一連の儀式には当然費用が掛かりますので事前に確認しておくと安心です。なお、分骨する際の骨壺は自分で用意しましょう。また、納骨した際に「遺骨所有者」として墓地へ提出した者の了承を得る必要があります。

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